MiniMax H3 のプロンプト書式

MiniMax H3 のプロンプトは自由文でもある程度は生成できますが、 決められたフィールド構造とラベル記法に従って記述する形式が推奨されています。

タスクタイプ

MiniMax H3 に動画を生成させるときの入力の与え方(生成モード)の分類のことを「タスクタイプ」と呼びます。 テキストだけを渡すのか、画像を渡すのか、渡すならその画像を動画のどの位置のフレームとして使うのかの違いでタスクタイプが異なり、 プロンプトの記述形式も変わります。

タスク 内容
T2VA テキストのみから映像・音声のタイムライン全体を生成する
I2VA 参照画像を最初のフレームとして、動画を生成する
FL2VA 参照画像2枚を最初と最後のフレームとし、その間を連続的につなぐ動画を生成する
L2VA 参照画像を最後のフレームとし、そこに収束する動画を生成する

プロンプトの基本構造

プロンプトは「画像アライメント指示(1行目)」+「3つのコアフィールド」で構成されます。

1行目:画像アライメント指示

T2VA ではこの指示 (画像アライメント指示行) は不要で、次セクションのコアフィールドから始めます。 画像を使うタスクでは、以下の定型文をプロンプトの1行目に書き、空行を1行挟んでからコアフィールドを続けます。

タスクタイプごとの記述形式は以下の通りです。

I2VA(先頭フレーム指定):
For the target video, at 0.00 seconds into the target video, <Picture 1> (from [Shot 1]) is fully referenced.
FL2VA(先頭・末尾フレーム指定):
How the reference pictures align with the target video — Picture 1 (from Shot 1) aligns with the 0.00-second mark of the target video; Picture 2 (from Shot N) aligns with the S.SS-second mark of the target video.
L2VA(末尾フレーム指定):
How the reference pictures align with the target video — <Picture 1> (from [Shot N]) aligns with the S.SS-second mark of the target video.

N は最終ショットの番号、S.SS は動画の長さ(小数点以下2桁固定)です。

3つのコアフィールド

コアフィールドは以下の3つのラベルから構成されます。

  • integrated_multimodal_description: [Shot 1] ...
  • overall_soundscape: ...
  • non_diegetic_music: ...


それぞれのフィールドの意味は以下です。

フィールド 内容
integrated_multimodal_description 映像・動作・ショット・話者・台詞・歌唱・劇中音をタイムラインに沿って記述する本体
overall_soundscape 環境音・物理音・非言語的な人の音を動画全体としてまとめる(1〜4文)
non_diegetic_music 登場人物には聞こえず視聴者だけに聞こえる BGM(1〜3文)


次のセクション以降で、それぞれのコアフィールドの記述形式を紹介します。

integrated_multimodal_description の書き方

スタイルとショット

[Shot 1] の冒頭で全体のスタイルと最初の構図を宣言します。

スタイルの例: Cinematiclive-action2D-animated3D CGclaymationwatercolorvintage film。 画像参照タスクでは参照画像からスタイルを決定します。

[Shot 1] Live-action, cinematic, a medium-wide shot frames...


最初のショットにはタイムスタンプを付けません。2つ目以降のショットは連番+単調増加するカット時刻で始めます。

[Shot 2] At 00:03.500, the camera cuts to...


通常のカットには the camera cuts to / the shot cuts to / the shot transitions to などを使います。 カットは被写体・空間・状態・視点・時間について新しい情報を導入する場合に使い、距離や角度をわずかに変えるだけならカメラモーションを使います。

カメラモーション:種類+振幅+速度

カメラワークは「モーション種類 + 振幅 + 速度」の3要素で表現します。振幅・速度は意味がある場合のみ付け、中程度・通常速度は省略します。

主なモーション種類:

表現 意味
Zoom In / Zoom Out カメラ位置固定で焦点距離を変える
Push In / Pull Out カメラ自体が前進/後退する
Pan Left / Pan Right カメラ位置固定で水平に振る
Truck Left / Truck Right カメラが水平に移動する
Tilt Up / Tilt Down カメラ位置固定で垂直に振る
Pedestal Up / Pedestal Down カメラ全体が上下に移動する
Arc Shot 被写体の周囲を円弧状に移動する
Tracking Shot 移動する被写体を追う
Static Shot カメラもレンズも静止
Shake Slightly / Shake Strongly 軽い/強い手ブレ
POV 被写体の主観視点
Roll Clockwise / Roll Counterclockwise レンズ軸周りの回転


振幅は with small amplitude / with large amplitude、速度は at slow speed / at fast speed を使います。 ラベルを文末に羅列するのではなく、ショット内の自然な英文として書きます。

The camera pushes in with small amplitude at slow speed toward the folded letter in her hands.

話者・台詞・歌唱

発話・歌唱する人物には (S1) (S2) のような決まった話者 IDを付けます。 複数話者が同時に話す場合は (S1,S2) のような複合 ID を使います。ID はショットをまたいでも同一人物なら変わりません。 発声しないキャラクターに ID は付けません。

話者の初登場時には、キャラクター種別・年齢・性別・画面内/外・声の高さ・声質・話速・アクセントなど、識別に十分な情報を添えます。 台詞は <d> タグで囲み、言語タグと実際の発話内容のみを入れ、原文を一字一句(句読点含め)そのまま保持します。翻訳や書き換えはせずに、台詞をそのままを記述します。

The young woman with a quiet, breathy voice (S1) says: <d>[English] I get off at the next station.</d>


ナレーション(ボイスオーバー)には says in an off-screen voiceover という定型句を使い、<d> ブロックの直後に 画面内の人物の口が閉じたままであることを明記します。

The man (S1) says in an off-screen voiceover: <d>[English] I still remember that road.</d> while his lips remain completely closed.


台詞がカットをまたぐ場合は接続点の両側に <scenetrans> を置き、音声が継続することを明示します(continues seamlessly across the cut など)。 動画の終わりで台詞が途切れる場合は <cutoff> を使います。

画面内テキスト

看板・ラベル・字幕・ネオンなど画面に実際に表示されるテキストは英語のダブルクォートで囲み、原文をそのまま(翻訳せずに)保持します。

A red neon sign reading "営業中" glows above the doorway.

音声フィールドの書き方

overall_soundscape

風・雨・交通・足音・衣擦れ・衝撃音・呼吸・笑い声など、環境音と物理音を1段落(1〜4文)でまとめます。 台詞・歌唱・劇中音楽は本体側に書くのでここでは繰り返しません。完全な無音を明示的に要求された場合のみ N/A を使います。

non_diegetic_music

non_diegetic_music: Sparse piano notes at a slow tempo, joined by sustained low strings that gradually increase in volume before fading out.

タスク別の記述パターン

タスク 推奨構成
I2VA 先頭フレームのアンカー → 動作の開始 → 連続的展開 → 結果・反応
FL2VA 先頭フレームの状態 → 観察可能な中間変化 → 差分の漸減 → 末尾フレームの状態
L2VA もっともらしい先行状態 → 明示的な動作・遷移経路 → 最終ショットでの漸近 → 末尾フレームへの着地

FL2VA は原則としてシングルショットとし、2枚の画像を静的に説明するのではなく、間をつなぐ動きの経路を記述します。 L2VA では参照画像は最終ショット [Shot N] に属し、ユーザーの意図と最終フレームから逆算した先行状態を推定して記述します。

フルリファレンスモード

複数の画像・動画・音声を参照して生成・編集を行うモードです。出力は以下の6セクションで構成されます (台詞・歌詞・画面内テキストのみ元の原語で記述し、それ以外は英語で記述します)。

セクション 役割
subject_definitions 参照コンテンツと参照ラベルの定義
summary タスク種別・対象動画・主要な参照関係の要約
retention_analysis 参照コンテンツの保持・転写・再利用の分析
detailed_description 再生順に沿った映像・動作・ショット・音・台詞の記述(本体)
overall_soundscape 環境音・物理音のまとめ
non_diegetic_music 視聴者のみに聞こえる BGM

参照ラベル4種

ラベル 意味
<Subject N> 参照アセットから抽出した再利用可能な可視コンテンツ(人物・物・シーン・衣装・スタイル・動作など)
<Picture N> 具体的なフレーム(先頭/キーフレーム/末尾)や構図アンカーとして使う参照画像
<Video N> 編集元・継続の起点・時間構造の参照となる動画(動画全体レベルの関係のみ)
<Audio N> コピーまたは参照される音声


一度割り当てたラベルは全セクションを通じて同じ意味を保持します。 画像がキャラクターやスタイルの定義だけに使われる場合は独立した <Picture N> エントリを作らず、<Subject N> の定義内で出典として引用します。 1つの Subject を複数アセットで定義することも可能です。

<Subject 1> is the woman whose appearance comes from <Picture 1> and whose walking motion comes from <Video 1>.

<Video N><Audio N> の番号は独立採番であり、同じ番号でもペアを意味しません。動画ファイルに音声が含まれるだけでは <Audio N> は作られません。

summary のタスク種別

summary は角括弧のタスク種別プレフィックスで始めます。複数該当する場合は + で結合します。

タスク種別 使う条件
keyframe completion 画像が先頭/キーフレーム/末尾など具体的なフレームアンカーとなる
reference generation 画像・動画・音声がキャラ・シーン・スタイル・動作・カメラワーク等の生成ガイドを提供する
video editing 既存の元動画を直接改変する
video continuation 既存の元動画から継続・延長する
audio reuse 音声信号そのものを全部または一部再利用する
audio reference 信号はコピーせず、スタイル・声質・内容・ビートなどのみ参照する


元動画から継続しつつ画像を末尾フレームとして使う場合は [video continuation + keyframe completion]。 参照動画がカメラワークやリズムのみを提供する場合は video editing ではなく reference generation に分類します。

retention_analysis の関係マーカー

各参照ラベルにつき1行で、対象動画内での保持状況を固定の英語マーカーで記述します。

可視コンテンツ(<Subject N> <Picture N> <Video N>):
マーカー 意味
fully_preserved 定義された役割が完全に保持される
partially_preserved 使用されるが一部の特性が変更・部分保持
attribute_transfer 特性が別の対象に転写される
weak_reference スタイル・カテゴリ・構図・雰囲気の大まかな類似のみ


対象動画で追加された新しい動作・背景・展開を「参照忠実度の低下」として扱ってはいけません。

補足:参照忠実度の低下 とは?
<Subject 1> is the young woman in <Picture 1>, with long dark hair, a blue cardigan, and a thin silver necklace.
と定義した場合、定義されているのは女性の外観のみです。

対象動画でこの女性が、参照画像には存在しなかった「雨の街を走る」という新しい動作を、まったく新しい背景の中で行ったとしても、 髪・服装・ネックレスが保たれていれば判定は fully_preserved です。参照画像に走るシーンが無いからといって partially_preserved にはしないです。


音声 (<Audio N>):
マーカー 意味
fully_copy 元音声全体が最終トラックとしてそのまま使われる
partially_copy 一部区間・一部レイヤーのコピー、またはコピー後に加工
reference 信号はコピーせず声質・リズム・スタイル・内容のみ参照
weak_reference カテゴリや雰囲気の大まかな類似のみ


<Subject 1> (appears in [Shot 1], [Shot 3]): fully_preserved - ...
<Audio 1>: fully_copy - <Audio 1> is reused 1:1 as the target video's complete final audio track.

detailed_description (フルリファレンス版の本体)

基本フォーマット(ショット記法・カメラワーク・話者 ID・<d> タグ)は基本ガイドと共通ですが、以下の違いがあります。

項目 T2VA フルリファレンスモード
本体フィールド名 integrated_multimodal_description detailed_description
スタイル宣言 [Shot 1] の後 [Shot 1] の前に1〜2文で記述
参照ラベル 使わない 初出時と役割が効く箇所に挿入


生成タスクでは本体は 350〜500語 が目安です(台詞が多い場合は語数より発話タイムラインの完全性を優先)。フレームアンカーは自然な言い回しで記述します。

the shot begins from <Picture 1>
the shot ends on <Picture 3>

参照 Subject が発話する場合は視覚参照ラベルと話者 ID を併記します。

<Subject 2> (S1) turns toward the woman and says, <d>[English] ...</d>

<Subject N> は参照対象の識別、(Sx) は実際の発話者の識別と役割が分かれています。 再利用 BGM 内の歌声のように、具体的な発声主体が存在しない場合は <Audio N> を音源として使い、(Sx) を新たに発明しません。 参照音声の台詞・歌詞をそのまま再利用する場合は原語・原文を <d> 内に保持し、聞き取れない箇所は推測せず [unclear] と書きます。

まとめ

  • MiniMax H3 のプロンプトは「アライメント指示 + 3コアフィールド」の固定構造で書く
  • 映像本体はショット単位でタイムラインに沿って記述し、カメラワークは「種類+振幅+速度」で表現する
  • 台詞は (Sx) の話者 ID と <d>[言語] ...</d> タグで厳密に管理し、原文を保持する
  • 音は「劇中音(本体)」「環境音(overall_soundscape)」「非劇中 BGM(non_diegetic_music)」に分離して書く
  • フルリファレンスモードでは <Subject/Picture/Video/Audio> の4ラベルと6セクション構成、固定の関係マーカーで参照関係を明示する
AuthorPortraitAlt
著者
iPentecのメインデザイナー
イタリア好き。Webページ、Webクリエイティブのデザインを担当。PhotoshopやIllustratorの作業もする。 最近は生成AIの画像生成の沼に沈んでいる。
作成日: 2026-08-05