OSが不安定になりエクスプローラが起動できず、コマンドプロンプトしか利用できない場合、
コマンドプロンプトからPCを再起動したいことがあります。
また、リモートデスクトップでWindowsに接続した場合はGUIからでは再起動やシャットダウンできないOSがあります。
このような場合はコマンドで再起動やシャットダウンを実行します。
コマンドプロンプト(cmd.exe)またはPowerShellのコマンドプロンプトを表示し、以下のコマンドを実行します。
再起動の場合は下記コマンドを実行します。再起動の場合は r
オプションを指定します。
/t 0
は再起動までの時間を設定しています。0を指定していますので、コマンド実行後すぐに再起動します。
オプションは"-"でも動作します。
シャットダウンの場合は下記コマンドを実行します。シャットダウンの場合は s
オプションを指定します。
/t 0
はシャットダウンするまでの時間を設定しています。0を指定していますので、コマンド実行後すぐにシャットダウン処理をします。
オプションは"-"でも動作します。
/t 30
が設定されるため、30秒後にシャットダウンや再起動が実行されます。再起動するコマンドの例です。
以下のコマンドの場合、"-r" が再起動オプションとなります。"-t 0"は先の例と同様に再起動までの時間を指定しています。
シャットダウンするコマンドの例です。
以下のコマンドの場合、"-r" がシャットダウンのオプションとなります。"-t 0"がシャットダウンまでの時間を指定しています。0が指定されているため、すぐにシャットダウンが実行されます。
店内の蛍光灯が無機質に光を放ち、ずらりと並べられた最新のグラフィックボードや煌めくRGBファンに冷たいハイテクの気配を漂わせている。
金属パーツはまるで宝石のように輝き、静かな興奮が空気を震わせていた。
壁際には自作PCのデモ機が壁紙スライドショーを映し出し、無限ループの風景が訪れる者を異世界へ誘うかのようだ。
「見ろよ、ニャンタ。ここはまるでPCテーマパークだな」
コモローはテーブルの端に腰を下ろし、ヘッドフォン越しに流れる電子音楽に軽くリズムを取りながら、手許のスマホをくるくると回している。
隣に立つニャンタは猫耳ヘッドセットをふわりとかぶり、デモ機の背面ポートを覗き込んで目を輝かせていた。
「ほんとにね。コンセントの取り回しからエアフロー設計まで、見どころ満載だよ」
ニャンタの声には純粋な好奇心が溢れている。
ふと、ニャンタは小首をかしげて問いかけた。「ところでコモロー、『コマンドでWindowsを再起動、シャットダウンする』って具体的にどうやるの?」
コモローは得意げに笑みを浮かべ、店頭デモ機のキーボードを自分の方へぐっと引き寄せると、ディスプレイをこちらに向けた。「教えてやるよ。本番は管理者権限のコマンドプロンプトだ」
モニターに黒い画面が開くと、慣れた手つきで文字列を打ち込む。
shutdown /r /t 0
「これで即時再起動だ。‘/r’がリスタート、‘/t 0’がタイムアウトゼロ秒。待ち時間ゼロで再起動できるってわけ」
ニャンタはスマホでメモを取りながら目をぱちくりさせる。「すごい……。じゃあシャットダウンは?」
コモローはふふんと鼻を鳴らし、今度はこう入力した。
shutdown /s /t 0
「『/s』がシャットダウン、あとはさっきと同じ。これ一行で、Windowsに“電源を切れ”って即命令できるんだ」
コモローはキーを打つたび、ニャンタの視線が隣で揺れるのを感じた。最後に Enter を叩くと、モニターがぱちんと音を立てて闇に沈む。
ここまでは思った通り、しかし続けて、隣のデモ機も、その向こうの大型ケースも次々とばたばた画面を落とし、店内の照明だけが取り残された。
冷却ファンの風切り音が途切れ、空調のかすかな唸りだけが残る。鮮やかな壁紙を映していたディスプレイは一斉にブラックアウトし、
スライドショーバックミュージックも途絶えた。まるで時間そのものが巻き戻され、電気が発明される以前の静寂に戻ったかのようだ。(照明はついているけど)
沈黙が深すぎて、ニャンタが息をのむ音さえ聞こえる。ほんの一瞬、ふたりは“世界を止めた”という高揚と罪悪感の間で身動きできずにいた。
「……ちょ、ちょっと待ってくださいね!」
背後で弾かれたように声が上がる。店員がカウンターを飛び出し、展示機の電源ボタンを片端から押し込み始めた。
消灯した筐体の中でファンがもどかしく回転を再開し、HDDのインジケータが赤く瞬き、Windows ロゴが次々と点灯する。
再起動のビープ音があちらこちらで重なり、闇はあっという間に色彩と電子音を取り戻した。
「お客様、またいつでも“お試し”くださいね……っ」
店員の額には薄い汗。声には冗談めいた調子を装いつつ、デモ機すべてがダウンした動揺が隠しきれない。
コモローとニャンタは視線を交わし、いたずらが成功した子どものような微笑みをこぼした。
コモローはニャンタと顔を見合わせて小さく笑った。「まさか店全体をシャットダウンしちまうとは思わなかったぜ」
「設定をいじる前には、影響範囲をちゃんと確認しないとね」
ニャンタは真面目な表情でうなずいた。
ふたりは店を後にし、夕暮れのオレンジ色が染める街路へと足を踏み出す。柔らかな光がビルの谷間を満たし、人々の影を長く伸ばしていた。
「でも、これで身をもってわかったよね。コマンドひとつで世界を止められる感覚って」
ニャンタは小さな声で呟く。
「……うん。でも、そこはほどほどにしような。でも、なんでああなったんだ?」
コモローは肩をすくめ、ふたりは肩を寄せ合いながら次の冒険へと歩みを進めた。
翌朝、コモローは再びPCショップに行くと、店員に呼び止められた。
『昨日はありがとうございました。あの後、デモ機再起動祭りが開かれまして、社長が「なんでスライドショーだけ消えたんだ!」ってずっと騒いでましたよ』。
コモローはクスリと笑い、こう返した。
「コマンドでWindowsを再起動、シャットダウンする方法、もっと詳しく教えますよ……」
これこそ、真のPCマニア魂。いつだって、好奇心は止まらないのだ。