Excelでグラフに回帰直線を表示する手順を紹介します。
こちらの記事ではFORECAST.LINEAR 関数を利用して回帰分析を実行しました。
この記事では、グラフに回帰直線を描画する手順を紹介します。
飼育している動物(ペンギン)の身長と体重を測定しました。結果は下記の表示です。
この環境で100cmのペンギンの予想される体重はどの程度になるでしょうか。回帰直線を利用して推定値を求めます。
体長(cm) | 重量(kg) |
---|---|
78 | 9.5 |
82 | 8.8 |
92 | 10.4 |
102 | 15.3 |
75 | 7.9 |
98 | 12.4 |
75 | 8.5 |
108 | 17 |
97 | 12.8 |
85 | 9.3 |
93 | 12.8 |
106 | 13.4 |
79 | 11.4 |
70 | 9.2 |
90 | 11.8 |
上記の表をExcelシートに作成します。
表のセルを範囲選択します。ツールリボンの[挿入]タブをクリックします。
グラフカテゴリの[散布図]ボタンをクリックし散布図グラフを挿入します。
散布図グラフが挿入できました。
散布図のドットをクリックし系列を選択します。選択ができると下図の状態になります。
右クリックしポップアップメニューを表示します。メニューの[近似曲線の追加]の項目をクリックします。
グラフに近似線が挿入されます。また、ウィンドウの右側に[近似曲線の書式設定]ウィンドウが表示されます。
[近似曲線のオプション]セクションの[線形近似]のラジオボタンをクリックしてチェックし線形近似直線を描画します。
線形の近似直線(回帰直線)が描画できました。
[近似曲線の書式設定]ウィンドウを下方向にスクロールします。[グラフに数式を表示する]チェックボックスをクリックしてにチェックを付けます。
チェックを付けるとグラフに回帰直線の数式が表示されます。
グラフに回帰直線を描画できました。
グラフの回帰直線から判断して、「100cmのペンギンの体重」は 13.8Kg~14.0Kg 程度になると予想できます。
回帰直線のR²値を表示する場合は、[近似曲線の書式設定]のパネルを下にスクロールし、[グラフに R-2 乗値を表示する]
のチェックボックスをクリックしてチェックをつけます。
チェックをつけるとグラフの回帰直線の位置にR²値が表示されます。
放課後の情報処理室には西日が差し込み、窓辺のパソコンの筐体にオレンジ色の斜線が浮かんでいた。
冷房の切れた室内で、ファンの回転音だけが規則正しく響く。
理数研究部の三人は、文化祭に向けた『ジュースの温度と炭酸の抜け具合』実験のデータを前に頭を抱えていた。
「散布図までは作ったけど、線がガタガタで傾向がわからないよ」
由梨がマウスを握ったままつぶやく。画面には点がばらまかれた青いグラフが映り、温度が高いほど炭酸が抜けやすいらしいことだけはぼんやり伝わる。
理央はスティックのりをくるくる回しながら言った。
「先生が『回帰直線を引きなさい』って言ってた。Excelなら自動でやってくれるとか」
「でもやり方わかんないし」
由梨の指先がホームポジションから離れて宙を泳ぐ。
そのとき、窓際でジュースを片手にしていた蒼は、不意に身を乗り出した。
「グラフをクリックして、右のリボンから『分析』タブを探してみて。そこに『近似曲線を追加』ってやつがあるはず」
半信半疑で三人は操作した。散布図の上に、淡いオレンジの直線がすっと走る。傾きも、切片も、数式として小さく記された。
「おお……一撃!」
理央がスティックのりをキャップごと落とす。
「ね、簡単でしょ? ちなみに『表示形式』で線の色も変えられるし、R²値を出しとくと説得力あるよ」
蒼はジュースの缶を軽く振った。
「R²って何?」
由梨の質問に、蒼はひと呼吸置いてから、黒板のチョークで小さな四角を書き、ばらつきと説明力の話を端的に示した。窓辺の光でチョークの粉が舞い、夕焼けの粒子のようにきらめく。
「つまり、値が1に近いほど線がデータをよく説明してるってこと」
「じゃあ、この0.92って結構いい線いってるんだ!」
理央の声が弾む。
教室の時計が18時を回り、校舎にチャイムが鳴った。片付けを始める三人を見て、蒼は缶を一気に飲み干すと、にっこり笑った。
「――で、わかったこと。炭酸は冷えてるほうが抜けにくい。だからさ、実験で余った分は俺が責任をもって家の冷蔵庫でキンキンに冷やしておく。経過観察もばっちりやるから安心して」
由梨が即座に眉を寄せた。
「“経過観察”って名目で飲むだけでしょ? データより先にジュースが消える気しかしないんだけど」
理央も吹き出す。
「回収率ゼロパーセント確定だね。むしろ蒼の腹の中で完全蒸発!」
回帰直線よりも一直線に、蒼の腹の中へジュースが消える未来が、ただひとつ確からしい結論として残った。