Excelの散布図グラフで縦軸と横軸を入れ替える方法を紹介します。
こちらの記事のデータを利用して散布図のグラフを作成します。
散布図を作成した直後の状態では、左側の列が横軸、右側の列が縦軸になります。
縦横を入れ替える場合は、列の並びを逆にします。
xの列を右側に移動しました。この状態でデータを選択し、散布図のグラフを作成します。
縦軸と横軸が入れ変わった散布図が作成されました。
列を入れ替えることができない場合は、グラフのデータソースの系列の設定を変更して縦軸と横軸を入れ替えられます。
作成した散布図で右クリックします。下図のポップアップメニューが表示されます。[データの選択]の項目をクリックします。
[データソースの選択]ダイアログが表示されます。
左側の凡例項目の[y]の項目をクリックして選択し、[編集]ボタンをクリックします。
下図の[系列の編集]ダイアログが表示されます。[系列 X の値] のテキストボックスと [系列 Y の値]のテキストボックスの入力内容を入れ替えます。
今回の例では、[系列 X の値]が =Sheet1!$B$3:$B$32
[系列 Y の値]が =Sheet1!$C$3:$C$32
となっていますので、値を入れ替えて、
系列Xの値を =Sheet1!$C$3:$C$32
系列Yの値を =Sheet1!$B$3:$B$32
とします。設定ができたら、[OK]ボタンをクリックします。~
[データソースの選択]ダイアログに戻ります。[OK]ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。
設定を変更すると散布図の縦軸と横軸が入れ替わります。
以上の手順で、散布図の縦軸と横軸を入れ替えできました。
朝一番の分析室は、窓越しの柔らかな光と、静かに立ちのぼるコーヒーの香りで満たされていた。
壁際にはピボットテーブルの印刷物がずらりと貼られ、中央の大型モニターには前夜遅くまで格闘した散布図が映し出されている。
青いドットが斜めに並ぶそのグラフは、見る者の目線を自然に右上へと誘導した――ただし、横軸と縦軸が入れ替わっているという致命的な誤りを抱えたまま。
ジョニーは額に手を当て、ジョナスンはマグカップを握ったまま固まっている。
昼までにレポートを出さねばならない。グラフを作り直す時間はない。二人の視線は自然とリーダーの背中へ集まった。
かもーるは椅子をくるりと回し、ゆっくりと立ち上がる。外から差し込む光が彼のメタルフレームの眼鏡(伊達眼鏡)に反射し、薄いハイライトを描いた。
無言のまま歩み寄り、ジョニーのマシンのトラックパッドに手を添える。散布図上で軽くタップし、コンテキストメニューを呼び出す。
次いで「データの選択」を示すその指先が、宙を泳ぐように静かに止まった。
ダイアログが開く。左側の凡例リストから現在 y
になっている系列を選び、編集ボタンを押す。室内にキーボードを叩く音はなく、
ただジョナスンのマグカップが小さく鳴っただけだった。かもーるは X
と Y
のセル範囲を入れ替え、一拍おいて OK を押す。
画面のドットは一瞬で向きを変え、まるで潮位がひっくり返った海のように形を整えた。
「列を入れ替える手もあるが、シートを触りたくないなら系列を逆に書き換えるだけでいい」
静かな声が空気を割る。ジョニーは思わず拳を握り、ジョナスンはほっと息を吐いた。だが次の瞬間、かもーるは顎を引き、モニターの凡例に目を細めた。
「ラベルが昔のままだ。君たち、これでクライアントに渡すつもりだった?」
ジョニーとジョナスンは顔を見合わせ、慌てて凡例テキストを修正し始める。
ところが、かもーるは腕時計を確かめると、そそくさと荷物を抱えて出口へ向かった。その背中に、ジョニーが声をかける。
「リーダー、会議は十時半のはずですよ!」
かもーるはドアノブを握ったまま振り返り、わずかに口角を上げる。
「いや、十分で終わる。凡例を直すのは君たちの宿題だ。グラフはもう正しい――あとは物語を作るのは君ら次第だろ」
扉が閉まる。静寂の中、ふたりは新しく整った散布図を見つめる。反転した軸は、まるで先ほどまでの混乱を嘲笑うかのように整然と交差していた。
ジョナスンがぽつりと漏らす。
「凡例、どうしようか。YがXでXがYで……もう頭がこんがらがる」
ジョニーは深呼吸し、にやりと笑った。
「簡単さ。凡例の文字を丸ごと消してしまえば、誰も気づかない。伝説を失ったグラフ、ってね」
ふたりは肩をすくめ合い、同時にクリック音を鳴らした。凡例は消え去り、グラフは無口になった。静まり返った分析室に響くのは、遠くで落ちるコーヒーメーカーの滴の音だけ。
昼の提出時、その無口なグラフはまるで沈黙の哲学者のようにクライアントの前に置かれた。軸もドットも完璧。ただし、凡例は存在しない――それゆえ誰も凡例の誤記に気づくことはなかった。
かもーるは会議室の隅で腕を組み、自分の部下をちらりと見る。ジョニーが小さくウインクし、ジョナスンが胸を張る。沈黙がひとつの笑みへ成熟する瞬間だった。
小さな凡例を捨てて得た、大きな滑稽とささやかな勝利。入れ替わったのは軸だけではなく、責任と機転のバランスだったのかもしれない。