ラフをクリーンアップする作業でうまくいかないケースがあります。ここではペン入れのTipsやクリーンアップの手順やコツなどを紹介します。
この記事で紹介しているのはデジタル作業での方法です。アナログでのペン入れについては解説しておりませんのでご了承ください。
(この記事でも部分的には使えますが、アナログのペンの場合はペンが紙を噛んでしまうため描けない方向の制約が出ます。)
まず、描画方針と仕上がりの違いを確認してみます。
こちらの下絵をクリーンアップする手順を例にします。
アニメやイラストを見ると第一印象では細い線で均一に描画されているように感じます。まずは、細い線で均一にクリーンアップしてみます。
以下の方針で描画します。
完成が下図になります。細い線で均一に線が引けていますが、やや物足りなさを感じます。ただし、アニメ的な絵にする場合や多色で着色する場合はこの線でも問題は無いため、この仕上がりで問題があるわけではありません。
次に、先とは正反対の方法で、太い線で強弱をつけて描画します。
以下の方針で描画します。
完成が下図になります。線が太いため、先のイメージより、存在感や視認性の良さがあります。が、イラストや漫画の絵とはすこしかけ離れているイメージです。
細い線で均一に描く方法と太い線で強弱をつけて描く方法の2つの極端な例を紹介しました。実際はそれぞれの中間をとった仕上がりを目指すことになります。
下図は以下の方針で描画したものです。
線は一回で描画しきる必要はありません。線は作ってしまっても問題ありません。
下図は以下の方針で描画したものです。
完成形のイメージと強弱をどの程度つけたいかで描画の方針を変えていきます。
以下では、線の処理方法のTipsを紹介します。
髪の毛の先など線が交差する場合の処理方法の例です。
ある程度勢いをつけて描画すると下図のように先端で線が合わないことは多々あります。
このような場合は、線を消してしまいます。先端のはらいの部分も修正で作ってしまいます。
別の方法として、線を消せない場合は、下図のように手前で線を終わらせます。
先端部分をつなぎます。短い線を少しづつ伸ばしながら先端部でぴったり合うようにします。
頬の線は強弱をつけて描くことが多いです。この線も筆圧だけで強弱をつけて一回で描画していると思い込みがちですが、一回で描画する必要はありません。(熟練者で一回で描画する方もいますが・・・)
後から太くする部分を描き足して強弱をつけます。
一度に長い線が書けるならば問題ありませんが、短い線をつないで書く方法もあります。
一度に描いた線よりも多少強弱がつきやすいですが、それほど不自然には見えません。
まんがの絵では線に強弱をつけることで画面のメリハリを出したりキャラクターの存在感を高めています。また、アニメでもまんがほどではありませんが線の強弱をつけています。ここでは、どういった場所で線の強弱をつけるかを紹介します。
強弱のつけ方は書き手の自由ですが、一般的に線を太くする場所は以下になります。
一般的に線を細くする(あるいは描かない)場所は以下になります。
線の太い場所と細い場所が逆になったとしても、大きな違和感は出ませんので、上記はあくまで目安です。
「右向きの顔が不自然に見える - 利き手側を向いた顔の描画」の記事でも紹介していますが、右上方向に曲がる線、左上に線曲がる線、上向きの線は手の構造上描きにくいです。これらの向きの線を引く場合は以下の対策があります。
はじめのうちは画面や体の位置を変えて書くと良いですが、おそらく慣れてくると時間のロスになるため、ひじの位置を変えて書くようになる方が多いと思われます。描画のスタイルは個人差が大きいので一番描きやすい方法を用いるのが良いです。