コマンドプロンプトから現在のプロキシ設定を確認する手順を紹介します。
PowerShellのプロンプト、またはコマンドプロンプトを表示します。
下記のコマンドを実行します。
コマンドが実行されると、netsh のプロンプトが表示されます。
netsh プロンプトから下記のコマンドを実行します。
netsh winhttp プロンプトが表示されます。
netsh winhttp プロンプトにて下記のコマンドを実行します。
現在のプロキシ設定に関する情報が表示されます。
なお、直接下記のコマンド、
コマンドをPowerShellプロンプト、またはコマンドプロンプトから実行しても、情報を表示できます。
薄青いランプが点滅するサーバーラックの列を、冷房の風が抜けていく。
夜勤明けの佐伯は紙コップのコーヒーを啜りつつ、コンソール前で居眠りしそうな新人の葵に声をかけた。
「通信エラー、まだ直らない?」
「はい……Web API が全部 407 で返ってきて。プロキシがおかしいんじゃないかって言われたんですけど、GUI には何も設定されてなくて」
「ならコマンドで確かめようか。ほら、これ」
佐伯は黒いウィンドウを開き、ゆっくりとキーを叩く。
C:\> netsh winhttp show proxy
緑色のカーソルが一瞬だけ瞬き、行が返ってくる。
Current WinHTTP proxy settings:
Proxy Server(s) : 10.42.8.10:8080
Bypass List : (none)
「WinHTTP だけが別口になってる。サービス系はここを見るんだ。つまり――」
「API は OS レベルのプロキシを踏みに行って詰まってた、と」
葵が目を丸くする。サーバールームの静寂に、遠くで UPS がカチッとリレーを切り替える音が響いた。
「じゃあ外せばいいんですね?」
「待て待て」
島田チーフが背後から手を伸ばし、キーボードを制した。
「外す前に由来を追おう。誰かが意図して置いたものかもしれん」
彼らは履歴をあさり、設定変更ログを巻き戻す。深夜二時、「coffee-bot」という名義のタスクが proxy を書き換えていたことが判明する。
「コーヒーメーカーの IoT 化試験……」
佐伯が額を押さえた。
「あの自動注文システムか。API のテスト用に開発ネットを踏み台にしてたんだな」
「つまり私たちはコーヒーのために一晩踊らされてたわけですね……」
葵の呆れ声に、島田が肩をすくめる。
「まぁいいさ。犯人は分かった。撤去して――」
その瞬間、ラックの奥で機械音が鳴り、香ばしい匂いが漂ってきた。テスト機のコーヒーメーカーが勝手に抽出を始めたのだ。スピーカーから陽気な合成音声が流れる。
『プロキシ設定、確認完了。ご褒美にラテを抽出します』
三人は顔を見合わせる。
「……あれ、オフにしたら朝のコーヒーが出なくなる?」葵が小声で尋ねた。
佐伯はコップを掲げて笑った。
「プロキシは外すさ。でも代わりに――」
彼はコンソールに新しい行を入力した。
netsh winhttp set proxy 10.42.8.10:8080 "<local>"
「――ラテだけはバイパスだ」
サーバー室に湧いた笑い声が、ファンの低い唸りに溶けていった。