ユーザー名を明示的に指定してファイル共有フォルダを開く (net use コマンドを利用)

Windowsでユーザー名を明示的に指定してファイル共有フォルダを開く、現在ログオンしているユーザーと別のユーザーでファイル共有フォルダを開く場合の手順を紹介します。

概要

Windowsでファイル共有サーバーにアクセスする場合エクスプローラなどで、次のパスの形式でアクセスできます。

\\(サーバー名)

上記のパスでアクセスすると、WindowsにログインしているユーザーのIDとパスワードで接続を試みます。 Windowsにログインしているユーザーでログインできなかった場合には、認証ダイアログが表示され、IDとパスワードを入力して認証します。 多くの場合この方法で問題ありませんが、ログインしているユーザーと異なるアカウントでアクセスしたい場合があり、ユーザー名とパスワードを別に指定したい場合があります。

例えば、現在ログインしているWindowsユーザーでファイル共有サーバに対してもアカウントが存在しているが、別のユーザーでログインしたい場合などがあります。

手順

netコマンドを用いることでユーザーを指定して共有フォルダにアクセスすることができます。
コマンドプロンプトで下記のコマンドを実行します。

net use \\(サーバー名) /user:(ユーザー名) (パスワード)

指定したユーザー名でファイル共有サーバーにアクセスできます。

コマンド例

下記のコマンド例はユーザー名"penguin" パスワード"hopstep"でファイル共有サーバー"server001"にアクセスする例です。

net use \\server001 /user:penguin hopstep

その他の例

下記のバッチファイルでは、バッチファイルを実行するとサーバー(\\storage)に接続しそのサーバーのフォルダをエクスプローラで開きます。

server.bat
net use \\storage /user:penguin hopstep
explorer \\storage

A.W.S (Another World Story)

ユーザー名を明示的に指定してファイル共有フォルダを開く (net use コマンドを利用):画像1

夜半を過ぎ、薄暗いアパートの一室では青白いモニターの光だけが怪しく揺らめいていた。 机の上には空になったエナジードリンクの缶が転がり、キーボードを叩く音だけが無言の空間を破っている。

「そろそろ時間だぞ、リョウ」
「分かってる、もう少しだ……」

モニターの前に座る男、リョウは画面から目を離さず、無造作に指を動かし続けた。背後に立つもう一人の男、ケイは腕を組み、不安げに時計を睨む。

「これで通らなければ、次のチャンスはない。分かってるよな」
「焦るなって。たった今、ユーザー認証を明示的に指定して共有フォルダを開くところだ」

リョウの指が一瞬止まり、すぐにコマンドが打ち込まれた。

net use
画面に黒いウィンドウが浮かび上がる。その光景にケイはわずかに前のめりになる。

「今回は特別に仕掛けが多い。普通の方法じゃ突破できないんだ」
「だから、ユーザー名を直接指定するってわけか?」
「そうだ。裏で認証情報が干渉してやがるからな。面倒くさいことになったもんだ」

カタカタと高速で打ち込まれたキーの音が止まり、リョウは一呼吸ついてエンターを押す。

しかし画面に返ってきたのは、無情なエラーの文字列だった。

「失敗だと?」
「おい、リョウ、どうしたんだ?お前ほどのスーパーハッカーがこんなところで躓くとはな」

ケイが皮肉げに言ったが、リョウの視線は鋭く、再びキーを叩き始めた。

「焦るな。キャッシュされた認証情報が邪魔をしているんだ。削除すればいけるはず」
「キャッシュを削除?」
「認証情報が記憶されていると別のユーザー名でアクセスできなくなる。いったんクリアにする必要がある」

手早くコマンドを入力するリョウの背後で、ケイは緊張を隠せないまま呟いた。

「なるほどな……クリアして改めてユーザー名を指定か。お前、やっぱり腕は確かだな」

再度コマンドを叩き終えたリョウは、静かにエンターを押した。
一瞬の間が訪れ、次の瞬間、緊張を破るようにウィンドウには成功を示すメッセージが現れた。

「突破したぞ!」
「よくやった!」

二人は小さく拳を合わせ、喜びを噛み締めた。だが直後、突然モニターに別のウィンドウが立ち上がる。

そこにはシステム管理者からのメッセージが浮かび上がった。

『ようこそ、君たち。深夜の実習お疲れさま。特別課題クリアだな。明日のセキュリティ講義は朝8時半からだ。遅れるなよ。――教授より』

リョウとケイは顔を見合わせ、がっくりと肩を落とした。

「また教授に遊ばれたか……」
「いや、これこそスーパーハッカーへの最短ルートだろ」

時計はもう午前3時を回っていた。窓の外では、東の空が薄らと白んでいた。

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著者
iPentec.com の代表。ハードウェア、サーバー投資、管理などを担当。
Office 365やデータベースの記事なども担当。
作成日: 2010-05-30
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